*** worry
ここは、景吾の部屋。
肌を寄せ合い、抱きしめ合う。
景吾は、わたしの欲しいものをくれる。たとえ何も言わなくても。
物だけじゃない。言葉も、時間も、気持ちも。
分かりやすく、惜しみなく、わたしに与えてくれる。
それなのに......
どうして、こんなに不安になるんだろう。
「?」
気付かれた?
こんな時なのに......だよね。
人の気持ちの動きを察するのが上手な貴方は、気付いてしまうんだ。
目を開けて見上げると、少し離れた上部から、じっと見下ろす景吾と目が合う。
「なんか、あったか?」
「うううん。ごめん。」
「謝んなよ。どした?」
「うん。ごメ...あ、」
「フッ。なんだよ。」
言おうかどうしようか迷う。
景吾の方に不満とかがあるわけではなく、問題は自分の方。
この気持ちを、どう持って行ったらいいのか、ずっと彷徨ってるわたし。
「ねぇ。」
「あぁ?」
「笑わないで聞いてくれる?」
「なんだ。」
「不安なの、すごく。ヘンになっちゃいそうなの。
わたし、景吾のことが好きすぎて好きすぎて、オカシクなっちゃいそうなんだ。
分かってるんだよ。景吾、忙しくても、わたしのことすごく考えてくれてるし、
わたしも、本当に十分だって思ってる。
すごく満たされてるのに、もっともっとって、景吾のことを求めちゃうの。
すごい贅沢だよね。でも、何でだろうって思って、自分が分からなくなって、
ヘンになりそうなの。おかしくなりそうで不安なの。」
ハッ、っと吐き出すような笑いをしたかと思うと、
「何、カワイイこと言ってんだよ。」
何を言い出すかと思えば、と、ちょっと照れた風にそんなことを言って、
フッ、っと溜め息のような笑みをこぼした後、わたしの額に、わざとチュッと音を立てて、
ゴロンと横に転がり、両腕を自分の枕にして、そっか、と言いながら、仰向けに横たわった。
怒られるかと思ってたけど、
どうも、そうではなさそうで、ちょっとホッとした。
でも何だか、やっぱりヘンな気分。
抱かれながらこんなこと言うって、やっぱりわたし、ヘンだよね。
思いっきりムード、ぶち壊しじゃん。
そんなネガティブな事を考えながら、景吾の方をちらっと見ると、
何か考え事をしているのか、じっと天井の方を見ている。
「俺も一緒だ。」
「え?」
「俺もお前とおんなじこと、いっつも考えてる。」
「ホントに?」
「ヘンか?」
「だって、いっつも余裕ぶちかましてるように見えるもん。」
「ハッ......ま、そうだろうな。」
そう言って、わたしの方にまた向き直して、今度は片方の手で自分で腕枕をしながら、そして、
反対の手で、わたしの頭をゆっくり撫でながら見つめてくる。
景吾の眼差しが熱い。
逸らしたくなるけど逸らしたくない。こっちからも熱い気持ちを伝えたい。
撫でる手の動きからも、わたしのことを愛しいと思う気持ちが、嫌というほど伝わってくる。
嫌じゃない。嫌なんてあるわけないじゃない。
わたしだって、愛しくてたまらない。今だって、心臓がドキドキして、うるさくて、
本当に目の前に飛び出してくるんじゃないかって思うほどなんだから。
「もっと甘えろよ。」
「え?」
「お前、まだ遠慮してるだろ。俺を誰だと思ってる。」
「う、うん。」
「俺も不安でたまらねぇ。お前の前じゃ余裕なんてねぇんだ。まさに、この今の状況でも。」
「今も?」
「好きな女の前じゃ、強がってみたいもんだろうが。余計によ。現に、俺も今、
思いっきり弱音吐いちまってるし。」
「景吾」
「お互いに弱いところ見せ合って、それを認め合って。
いろんなことしながらいろんなこと考えて、またお互いの気持ちを確かめあって。
それが、一緒に愛を育むってことじゃねぇのか。」
ツーっと、涙が流れ落ちた。
プチンッ、と何かがはじけた気がした。
そんな風に思っていてくれてたなんて......今までのことが、映像としてフラッシュバックする。
いろんなことをしてもらった。あんなことこんなこと。それが全て、今の景吾の言葉から感じられる気持ちに重なる。
わたし、すっごく大事にされてるんだ、と思うと、自然と涙が溢れてきた。
何、泣いてんだよ、と言いながら、頭を撫でていた指で、涙を拭ってくれる。
次から次へと溢れてくる涙。どうしよう、止まんないよ。
景吾の愛が嬉しくて嬉しくて......
あぁ、わたしって、すっごい幸せじゃない!
景吾が拭ってくれるだけじゃ間に合わなくて、自分で顔を両手で押さえて今度はわたしが仰向けになる。
でも、すぐにそのわたしの手は払いのけられ、涙を拭うように景吾からのキスが降ってくる。
両目に、両頬に、おでこに、.........そして、唇に。
吸い込まれるような激しいキスの後、おもむろに、
「今度は、から来いよ。」
「え?」
「たまにはお前の方から仕掛けて来いよ。ァン?」
「え、え、え゛〜〜〜?わ、わたし〜?」
「自分から攻めるって、結構満足するゼ?」
「・・・え?い、いやよ。そ、そんな。恥ずかしいし・・・・・・・・っていうか、どうやったらいいか、分かんないし.........」
「俺の上に乗れ。教えてやるよ。」
足りなかったら、明日も来い。
明日でもまだなら、毎日来い。
俺なら、いつでも受け止めてやる。もちろん、限定でな。
fin
by ゆかり 2010/04/14
《つぶやきという名のあとがき》
ひぇ〜〜〜っ!やっちまいました〜( ̄▽ ̄;
初跡部様ですっ(≡∇≡)
ぅぅう〜。不二くんゴメン、と心の中で叫びながら、の作成でありました......ははは。
いやぁ、すっごい楽しかったです。
あまり、色気のあるやつは、書く自信もなかったし、書く気も全くありませんでしたが、どうでしょうか。
これってどう?ギリギリセーフ???
ヤバいっしょ、と思われた方は、ご一報くださいませ<(_ _)>←低姿勢
どうもゆかりの中では、不二くんは真っ白なので、こちら系には傾かないのです。
不二くんは純白。だから、、、って跡部は???何?>爆
跡部様大好きです^^♪
何か欲求不満みたいなお話になってしまいました。f(^^;;;
でも、すごい速さで書いてしまったの。やっぱり欲求不満???( ̄m ̄;プププ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。