バタン!ガタン!












ガラガラ......





バサッ!



フワッ......








*** 熱








「ん―――――」



ゆっくりと目蓋を開くと、前方にはあまり見たことのない天井。そして周りには白いカーテン。鼻からはツンとくる消毒液の臭い。・・・・・・・・そっか。ここは保健室かぁ、と思った端から頭痛が襲ってくる。何だかボーっとする。体が熱い。あぁ、わたし、熱があるんだ。そういえば、朝から寒気がしてたっけ......とそこまで考えた時、あれ?わたし、どうしてここにいるんだろう、とやっと思考がまともに回り始めた。


「あ、気づきましたか?」
「え?」


ふと、その声のする方を見れば、同じクラスの黒子くん。......え?なんで?

わたしの脳内には、疑問符がジャンジャカ湧いてくる。ちょっと、と思って、起き上がろうとしたら、ベッドのそばに座っていた黒子くんに制された。


「まだダメですよ。相当熱があったんですから。まだ起きちゃダメです。」

んー、と言いながら黒子くんは、わたしに顔を近づけてくる。・・・・・え?ちょ、ちょっと、く、黒子くん、とわたしが動揺している間に、黒子くんとわたしのおでこがくっついた。


「・・・・・あぁ、だいぶ下がったみたいですね。良かったです。」
「く、黒子くん...」
「あ、すみません。これが一番手っ取り早いですから。」


そういう黒子くんの息が、すぐ近くに感じる。わたしはますます熱が上がりそうだ。
でも、熱だけ確認すると、黒子くんはわたしから離れていった。


「あの...黒子くん、わたし、どうして...」
「あぁ、さん、授業中に倒れたんですよ。僕の目の前で、机から落ちたから僕もびっくりして。すぐに駆けつけておでこを触ったらすっごく熱いし、顔も赤かったんで、僕がこうやってここまで連れてきました。」
「え、こうやって、って...」

黒子くんは、話しながら、両手を少し曲げ気味に前にだし、どう見ても何かを抱える姿勢......そ、それって、いわゆる”お姫様抱っこ”ってやつですかー???
し、しまった。せっかくのチャンス、黒子くんの顔が間近で見られたかもしれないのに...いやいや、そんなシチュエーション、冷静でいられる自信ないし。って、それって、みんなに見られたってことで...てか、黒子くんってそんなに力持ちだったっけ???

そう思いながら、思わず黒子くんの腕をしげしげと眺めていたら、

「あぁ、大丈夫ですよ。さん、そんなに重くなかったです。」

いやぁ、そういうことじゃ、いや、そういう事なんだけど、もう、やだよー、めっちゃ恥ずかしいじゃん、と、わたしは熱くなる顔を手で覆いながら下を向いた。って、今、何時?黒子くん、授業は???


「黒子くん、大丈夫なの?こんなところにいて。授業は?」
「あ、今は、昼休みですから大丈夫です。さんはしばらく寝てた方がいいですよ。後でまた来ます。」
「うううん、もう大丈夫だよ。あれだったらわたし、早退するし。」
「じゃあ、僕が送ります。」
「いやいや、そんな。連れてきてもらっただけで十分だから。」

そう。これ以上黒子くんといるなんて、心臓が持ちそうになかった。それでなくてもわたしは十分日頃から黒子くんのことが気になってるのに、こんな無防備な状態で、ずっとそばにいられちゃ、とても身が持ちそうにない。

「いいえ。僕に送らせてください。」

いつもと違う、黒子くんの声。一瞬わたしが怯んでしまうほど。どうしてそこまで力のこもった言い方しちゃうんだろう。訳が分からず、そのまま黒子くんの方を見ていたら、

「僕は、さんのことが好きなんですから、放っておけるわけないじゃないですか。」

―――――えぇ???今、黒子くん、なんて?わ、わたしのこと、す、すきって...何気にさりげなく告っちゃってるんだけど...


「じゃあ、まだ5時間目まで時間ありますから、一緒に行きましょうか。」

僕、教室に荷物とってきます、黒子くんはそう言って、保健室を出て行った。廊下で声がする。ちょうど担任に出会ったのか、説明している黒子くんの声が聞こえる。まだ頭もボーッとするし、何だかよく分からないけど、ここは黒子くんに甘えるかー。で、でも、、、黒子くん、す、好きって...

さっきの黒子くんの言葉を脳内でリピートさせながら、顔の火照りがなかなか止められないわたしだった。






fin

by ゆかり 2012/06/21






《つぶやきという名のあとがき》

リハビリ。。。です^^;; 小一時間で出来ちゃいました^^♪
てか、わたし自身が、とっても体調悪くて、誰かに優しくしてもらいたいよぉ、な心境で出来ちゃったお話です^^ゞ

元々、不二くんで進めるつもりで、随分前に作ってた話だったのですが、
いろいろ考えてたら、黒子くんで書きたくなっちゃったんで。

はぁ。。。黒子っちに看病してもらいたい〜。。。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。