***** Tea Time by Fuji








「よし、っと」




の、夕食の後片付けが終わったようで。

「周助、紅茶とコーヒー、どっちがいい?」

と、聞いてきた。




そうだな。。。


最近、コーヒーの方が多かったかな。




「ん〜、じゃあ、今日は紅茶にしようか。茶葉は、キミに任せるよ。」
「オッケー!ふふっ。じゃあ、何にしようかなぁ。。。」



僕は、好きなインテリアの雑誌を読みながら、
彼女の入れてくれる、とっておきの紅茶を待つ。





最近は、このひとときが、たまらなく好きで、幸福感がわいてくる。





結婚してからも、僕たちは、それぞれの気持ちを尊重する意味で、
一緒の空間に居ながらも、別々のことを過ごすことが多い。



それは、決して、お互いに孤立しているわけではなく、
一緒にいることで、空間を共有し、
お互いの存在を確認しつつも、
自分の世界も大事にし、かつ、相手の世界観も
理解しながら受け入れて行く。

こういう場合、一緒に何かをする、ということよりも、
案外、別々のことをしていることのほうが、
お互いに気持ちよく、一緒にいられるような気がするから、
不思議だ。





僕は、雑誌。は、好きな手芸。

彼女は、最近、元々好きだった裁縫を生かして、
"パッチワーク"を始めたらしく、
夢中で、チクチクと針を動かしている。



「ねぇ、、そんなに根詰めて、肩凝らない?」
「え?あ、ありがとう!大丈夫よ。好きなことだし。ん〜でも、
もし、許してもらえるなら、ちょっとだけほぐしてもらえると嬉しいかな...」
「オッケー!お安い御用だよ。」


そう言いながら、僕は雑誌をテーブルへと置いて、
の肩に手をのせる。


「ん―、結構硬いよ。無理してない?」
「そんなことないよ。何しても楽しいし、嬉しいし、
今は、何といっても......ねっ」


そういうに、肩からちょっとおぶさる感じで抱きついてみる。


「そうだよ。キミのお腹には、大事な僕たちのBabyがいるんだから。」




妊娠が分かったのはもう半年前。そろそろ七カ月目に入る。
曰く、安定期に入って、随分体調も落ち着いてきたらしい。


「ふふふ。大丈夫。周助がいてくれるだけで、十分癒されてるから。」
「ありがとう。でも、大事な体なんだ。無理し過ぎちゃダメだよ。」


本当に調子が良いのか、気にせずいつも通り普通に動き回るが、
僕としてはちょっと気になって仕方がない。


「あのね、周助。あまり気にしすぎるのも体には良くないのよ。
お腹の赤ちゃんには、ママのリラックスが一番イイ栄養になるんだから。」


そう言いながら、は紅茶を口に運ぶ。


「そうそう。この子ってね、天気予報してくれるの。
雨が降りそうになったら、お腹をトントンって合図して、
教えてくれるのよ。」
「へぇ、そうなんだ。いつもが、話しかけたりして
胎教してるから、それに応えてくれてるのかな。凄いね。」
「でしょ。もう、今から会えるのが、すごく楽しみになってきちゃった。」
「フフフ。でも、とそんなに通じ合ってるなんて、ちょっと妬けちゃうな。」
「もう、周助ったら。わたしが一番愛してるのは、周助に決まってるでしょ。」
「ありがとう。僕も愛してるよ、。」


そう言って、お互いに口びるを寄せ合う。そして、おでこをくっつけて顔を見合わせた。

ふと何となく気になって、僕は、
の頬を両手で包んだ。

「やっぱり妊娠中って体温高いのかな。
、何となく熱いよ?」
「大丈夫!体温は毎日測ってるし、それに、
妊娠中って意外と風邪引きにくいって聞いたし。」
「そう?でも、気を付けるに越したことはないから、
何かあったらいつでも言ってよ?仕事中でも駆けつけるからね。」
「ふふふ。周助ったら心配性ね。うん。
何かあったらすぐに連絡するから。」

そうして僕たちはまた軽いキスを交わし、
は立ち上がって、またキッチンへと行ってしまった。

たくさん歩いた方が安産になるっていうし、
のストレスにならない程度ならよしとしようか、と、
僕が自分自身に得心したところで、
はまた何か持ってきた。


「さっき、出し忘れてて。今日ね、
"紅茶のクッキー"作ったの。アールグレイの茶葉を
入れたから香りがいいわよ。」
「フフフ。まったくキミには敵わないなぁ。ありがとう。頂こうか。」


僕とと、そしてもうすぐ出会える新しい命。

僕たちがいつもたくさんの愛に満ち溢れられるよう、
しっかり守っていかなくては、と、
改めて僕は、心に誓った。









fin

by ゆかり 2012/02/02





《つぶやきという名のあとがき》

うしっ。これで、シリーズ完結?(笑)
いや、別にシリーズ化してるわけではないけど...
跡部くんの方を先に仕上げてしまったので、
早く作らなきゃ、というか、オープンまでに
どうしても仕上げたくて、ちょっと頑張りました。
でも、結構、スススッ、と
進ませることが出来ましたが^^

そのうち、いろいろシリーズとか作れたらいいな、と
思います。
頑張ります!(^O^)/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。