「あ、ねぇテツくん、"おぼゆ"ってどういう意味だったっけ?」
「あぁ、それはですねぇ、この言葉につながるので.....」
もうすぐ、高校に入って初めての中間テスト。
中学の時からお付き合いしている彼女、さんに誘われて、
初めて、彼女の部屋にお邪魔しているのだけど。
すっきりした落ち着きのある、彼女らしい部屋。
とはいえ、僕の胸中は正直、あまり穏やかではないというか。
でも、当の彼女の方は、いたって普通。
というか、いつもよりもリラックスしていて、穏やかな感じ。
勉強にも集中してるみたいだし。
今も、こうやって、僕にいろいろ質問をしてくる。
でも、実際、
"古典が苦手"と言っているわりに、そんなに点数も悪い方ではないと思うけど。
僕と勉強したかったのかな、、、、、とか、
二人っきりになりたかったのかな、、、、、、とか、
自分の都合のいいように考えてしまう僕がいる。
いや、彼氏なんだし、それくらい普通の思考でしょう。
などと、いろいろ考えてしまうせいか、一向に勉強の方は捗らない。
「ふぅ。ちょっと休憩しよっか。」
「そうですね。僕もちょうど、ひと段落ついたし。
そう思ってたところです。」
彼女の方からタイミング良く切り出してくれたおかげで、
緊張の沈黙から解き放たれ、まさに一息つけそうな感じで。
と、そこへ、
これもまた、ナイスなタイミングで、ドアをノックする音。
「お茶を持って来たのだけれど、開けてもらえるかしら。」
さんのお母さんが、ケーキと紅茶を持ってこられた。
「フフフ。頑張ってるみたいね。ちょっと休みなさいな。」
「ぅわぁ。グッドタイミングだよ、お母さん。ちょうど今ね、休憩しようって言ってたところ。」
「あら、それは、本当にちょうど良かった。
黒子くんも、お口に合うかどうかだけど、ご一緒にどうぞ。」
「すみません。ありがとうございます。」
ホントに、きちんとして礼儀正しいのね、と言いながら、
じゃ、ごゆっくり、と優しそうなお母様は退出されて。
「・・・・・・・ふふっ。ねぇ、ひょっとして、テツくん、緊張してる?」
「え?...うん。まぁ...」
お盆からお皿をとってテーブルに移しながら、さりげなく、でも、
ふいに尋ねられた彼女からの言葉は、実は核心をついていたりして。
「・・・・・緊張してない、と言ったら、嘘になりますね。」
「ふふふ。そうなんだ。テツくんでも、試合以外で緊張したりするんだね。」
「そりゃあ、まぁ、お邪魔したの、初めてですから。」
ニコニコしながら、紅茶を飲んでケーキを頬張る。
僕の方を見ながら、"テツくんってかわいいなぁ"なんて声が、
今にも聞こえてきそうな表情だけど、
僕に言わせてもらえれば、君の方がずっと可愛いんだけど。
と、何口目かの拍子に、大口を開けたせいか、彼女の口の横にケーキが。
というか、クリームが少し付いてしまったらしく。
と、僕はすかさず、"あ、ごめん、ちょっと"と言いながら、さんを引き寄せる。
え、なに?と言いながら、状況がつかめない彼女。
とまどう彼女の口の横、クリームをペロっと舐める。
え?や、な、なに?テツくん...と言いながら、さんは真っ赤になって。
そのまま、初めて彼女の口びるを奪った。
僕って案外、独占欲強いのかな。
*** sweet timing
(テ、テ、テ、、、、、)
(これで、ようやく、勉強に集中できます。)
fin
by ゆかり 2010/08/23
《つぶやきという名のあとがき》
いや。わたし、すごいです。
初めて、一日で、2作も仕上げちゃいました^^
まぁ、昨日から、案は練ってたのですけども...
黒子くん、結構書きやすいです。
言葉づかいが、ちょっと難しいですが。
黒子くん、初チューを、いつしようか、狙ってましたよね。
さりげなく、でも絶対逃さず!
まるで、彼のプレースタイルのように...???
そこまで上手く表現できてないけど...>撃沈↓
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。