「はい。ちゃんと後ろに回してよ。」

前から回ってきたプリントを

後ろにまわそうと振り向けば、

目が合ったアナタから

なぜか目が離せなかった。








*** 振り向けば








ちょっ、な、なに?


......んあ゛ぁー、ダメだー......


わたしは、この目、そして、この表情に弱いんだ。


そうやって、肩肘ついて、わたしより頭一つ分上から見下ろすように、優しい目で見つめられると、わたしの心はもうこの鉄平にくぎづけ。おまけに口にはビミョーに笑みを浮かべちゃってるし、もう、わたしの頭の中は正常に動かない。これって、本人は絶対意図的じゃないから、かえってタチが悪いというか、何て罪な男だろうと、今更ながら自分の彼氏に驚くと同時にちょっぴり惚れ直しちゃったりするわたしって......


そんなことを考えていたら、後ろから、「おいー!」という声が。


ゲッ、先生......


「お前、何、木吉に見とれてんだ?そういうのは、後にしてくれ。」


それと同時に、クラス中が大爆笑。


わたしは、慌てて前を向いて、座り直すけど、もう恥ずかしくて恥ずかしくて、俯くことしかできない。ひゃぁー、早く授業、終わらないかな......


ようやく授業が終わり、確かにわたしたちの仲は周知のことではあるのだけど、さすがに今回は周りからからかわれてしまった。ひとしきり友人たちから突っ込まれた後で、後ろの席の方へ向くと、いきなり鉄平から”デコピン”。


「ったっ。痛いじゃないっ。」
「なぁに、俺に見とれてんだ?」
「え?み、見とれてなんかないもん。」
「いや、俺がに見とれてたんだから、お前も俺に見とれてたんだよ。」

は...何それ?どういう理屈ですか?新手の俺様的発言???半ば呆れつつ、はぁ、と軽くため息をついたら、鉄平の顔が近づいてきて、口をわたしの耳元へと持っていく。

「ああいうのは、俺と二人だけの時だけにしろって。抱きしめたくなっちゃうから。」


こ、こ、この男は――――っ、んなこと言ってっ、どんだけ人の心を翻弄したら気が済むのよ―――っ、と心の中で叫びつつ、結局はいつもこの超マイペース男に振り回されてるわたしも、思いっきりもう既にどっぷり染められちゃってるんだろうなぁ、と思い、降参するしかなかった。






fin

by ゆかり 2012/05/19







《つぶやきという名のあとがき》

はい。木吉くん、2作目であります。
ぅわぁーっ。木吉くん、大好きだよぉ〜〜〜っ♪ な、ゆかりであります。
しかし。。。木吉くん、む、むずかしぃ。。。
まだまだセリフが思うように出てきません。
ごめんなさいね。まだまだ勉強させていただきますゆえ。。。<(_ _)>

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。