「先輩、いつも応援しています。頑張ってください。」


わたしは、スポーツタオルの入った袋と一緒に


手作りのクッキーの包みも渡した。








*** そんなあなたに








「おぅ、サンキュ。じゃあ、お礼に、これをあげよう。」

木吉先輩はそう言って、黒飴を二個、わたしの差しだした手の上に置いた。


「ぅわぁっ。あ、ありがとうございますっ。」
「うしっ。じゃ、お礼に、今度の日曜、どっか行くか。」
「え?」


ちょっと変わった先輩だとは聞いてたけど、この流れでそれですか?と、思わず突っ込みたくなるような言葉に、わたしはどう言葉を返していいか分からない。


「あ、えっと、あの先輩、わたし今、これ、頂きましたけど。」


わたしはそう言って、ついさっき先輩からもらった黒飴を見せた。すると、

「あぁ、それは、こっちのお礼。そんで、もう一つはこっちのお礼。」

木吉先輩は、そう言いながら、先に、クッキーの入った袋を上げ、そしてそれを下げて、次にタオルの入った袋を上げた。

「あの...えっと...」
「何か予定、入ってる?」
「え?いえ、別に、何も...」
「じゃあ、決まりな。10時に駅前集合!」


そう言って、笑顔をこちらに向けた後、二つの袋を抱えて先輩は去って行った。


何かよく分からないけど、これって、デートに誘われちゃったってこと???
いつもコートで見掛ける先輩とは全然違う印象に、わたしはかなり戸惑っていた。



約束の日曜日、少し早めにわたしは駅前に行き、少し待っていると木吉先輩も到着した。

「じゃ、映画でも行くか。」

そう言って一緒に映画館へ。初めての先輩とのお出かけに、わたしは始終ドキドキ...すっごく緊張してたけど、先輩がいつも笑顔で返してくれるから、わたしも少しずつリラックスしていった。先輩の笑顔には不思議な力がある、ような気がするのはわたしだけかな。

そして、映画の後、一緒にパスタを食べて、服を見たり雑貨を見たり、とほんとに普通のデートを楽しんでいた。わたしだけが楽しんでないかな、先輩はどうなんだろ、そればかり気になってたけど、先輩もいつもニコニコしてて、どことなく楽しそうに見えたので、先輩もそれなりに喜んでくれてるのかな、と、少しだけ胸を撫で下ろしていた。


帰り道、先輩が途中まで送ってくれた。

「あ、ここでいいです。今日はありがとうございました。」
「おぅ。楽しかったな。」
「はい。楽しませていただきました。」

と、わたしがぺこりとお辞儀をしたら、

「よし。今度はどこ行こうか?」
「え?」
「次は、遊園地なんかどうかなぁ?」
「えっと、あの、先輩...」
「なんだ。」
「あの、先輩は、わたしなんかとで、いいんですか?」
「ん?何がだ?」
「いや、あの、わたしが勝手にプレゼントとかしちゃって、先輩、気遣っていろいろ連れて行ってくださって...わたしだったらもう十分です。あの、出かけられるのなら、他にもステキな方が......」
「え?なんでだ?嫌なのか?」
「あ、いえいえ、そ、そういうわけじゃ......」
「じゃ、問題なし。また来週行こうな、ちゃん。」
「せ、先輩......?」


先輩は、戸惑うわたしの頭をくしゃっ、と撫でて、んじゃな、と片手を挙げて行ってしまった。
すっかり先輩のペースに巻き込まれたわたしは、嬉しいような複雑な思いを残しつつ、顔を赤らめたまま呆然と立ち尽くしていた。






fin

by ゆかり 2012/05/19







《つぶやきという名のあとがき》

初木吉夢です!ぐふふ。。。
黒子くんの次に大好きなキャラなので、、、でもかなり悩みました〜!
天然なのにカッコイイ。そんなキャラ、書けるかなぁ、と。
木吉くんの良さ、出てますかねぇ。
何かご意見ありましたら、是非是非!お受けいたしまする。。。<(_ _)>

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。