*** メガネ








見ちゃった、見ちゃった―――――っ!


日向先輩が、メガネ外したとこ!


誠凛バスケ部マネとして、所属して早数ヶ月。日向先輩のそういうシーンを見るタイミングがなかったわけではないのに、なかなか機会がなかった。
ていうか、汗を拭くときとかでも、タオルで隠れちゃって見えなかったり、その前に、ユニフォームで拭いちゃったりとか、手で隠れて全然見えないし。わたしも、見よう、と思ってタイミングを計っていたわけではなかったんだけど、さっき偶然、見えちゃったんだー。


外の水飲み場で、シューズの滑り止めのための雑巾を準備していた時のこと。日向先輩がちょうどやってきて、ふぅ、あっちぃ、とか言いながら、メガネを外して、顔を洗い始めた。え?とわたしは思わず先輩の方を見た。すると、頭までびっしょり濡らして、タオルで頭ごとゴシゴシ...その時に見えた。ぅわっ...か、カッコいい...

わたしは手元を停止させたまま先輩の方を凝視していたので、先輩が不思議に思ってこっちを向いた。

「何?俺の顔になんかついてる?」
「あ、いえ、すみません。何でもないです...」

わたしがそう言ってまた作業を始めたら、先輩は、いつもありがとな、と言って、ポンッとわたしの頭を押さえて、タオルを首に掛け行ってしまった。ヘンに思われただろうなぁ、とは思ったけど、メガネを外した先輩が間近で見れたことで、わたしは半分興奮気味だった。



そして、部活が終わって、わたしが今日の鍵当番だったので、戸締りをして正門へ向かった。すると、よぉ、という声がするのでそちらを見たら、日向先輩が片手を上げて立っていた。


「なぁ、、そこまで一緒に帰らねぇか?」
「え?あ、はい。お願いします。」


ハッ、お願いされちゃったか、と先輩は苦笑しながら歩を進めたので、わたしも先輩の後をついて歩き始めた。



少し歩いてから、日向先輩が口を開いた。

「さっき部活の時、俺の顔覗き込んでたけど、あれ、何でだ?」
「あ...えっと、すみません...ごめんなさい。」
「いや、謝んなくてもいいけどさ。何かヘンだったか?」
「えっと、いや――なんか、ちょっと言うの、恥ずかしいです...」
「俺だって、ジーッと見られたら恥ずかしいんだけど?」
「あ、あはは。そりゃそうですよねー。」


正直に言っちゃうのもどうだろう、と思いつつ、先輩も少し照れてるように見えたので、何だか可笑しくなってちょっと笑ってしまった。


そしたら、徐に、

「えっと...なぁ、、また明日も一緒に帰らねぇか?」
「・・・・・・え?」
「あ、いや、すまん。困るよなぁ、俺なんかと...」
「そ、そんな...そんなことないです。嬉しいですよー。わたし、先輩にあこがれてますし......」
「え?そうなの?」
「あ......はぁ、まぁ......あの、先輩のこと、見てたのも、その、カッコいいなぁ、って......」
「て、マ、マジで?お、俺のこと?」
「はい。えっと、実は、前にもチラッと、先輩がメガネを外したところを見たことがあって、それで、その......一目ぼれした、っていうか......」
「え?メ、メガネ?」
「あ、はい。あ、あの、偶然なんですよ?先輩が顔を洗ってる時に、たまたま......」


すると、これか?、と言いながら、先輩は、メガネをとった。


初めて至近距離で見る先輩の素顔......先輩は先輩で、ちょっと照れ臭そうに見つめ返してくるし。わたしはわたしで、完全に脳内停止状態。頭真っ白で日向先輩を見つめ返していた。すると、

「たっ......そ、そんな顔で見られちゃ、こっちがテレるな。」
「あ、す、すみません。」
「謝んなって。嬉しいよ。」
「え?そ、そうですか?」
「おぅ。なんか、明日も頑張れる、って気になってきた。」
「ホ、ホントですか?」
「あぁ。ありがとな。。明日からも頼むわ。」

先輩はそう言って、握りこぶしを差し出してきたので、わたしもそれに合わせるようにグーを差し出した。







fin

by ゆかり 2012/05/09







《つぶやきという名のあとがき》

な、なんか、時系列、おかしいですか???
わたしが脳内狂ってて、すみません。。。^^;;;
日向くんって、ちょっぴりヘタレ気味の方がイイ感じかな?
かわいいなぁ、日向くん♪ でも、カッコいい!
メインシューターだしねっ(o^-')b

ということで、いかがでしたでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。