君は、フワッとどこかへ行ってしまいそうで。
放っておけない。
*** fuwafuwa
「お前、またあの子といるの?不二って変わってるよにゃ。」
「そうかなぁ。彼女、面白いよ。見てて飽きないし。」
「んあ〜、それは何となく分かるけど、何だか掴みどころがないっていうかさ〜、俺はニガテ。」
そういう英二の気持ちも分かる気もする。
というよりは、英二の性格からして、確かに彼女じゃもて余すだろうと思う。
そう。
きっと彼女 は、僕でないと合わない。というか、おそらく、他の人じゃ理解できない部分が往々にしてある。
確かには変わってる、ように見える。というか、僕に言わせれば、他の子があまりにも普通すぎるようにも思う。
は個性が強いんだ。それを、「変わってる」という一言で決められてしまいたくない。
そういう僕も変わってるのかもしれないけど。
は幼馴染みで、小さいころから一緒にいるからか、隣にいるのが自然な感じ。きっと、僕だけじゃない、も同じ気持ちだと思ってる。
「あ、周ちゃん」
「ん?どした?」
「さっき、購買でね、チョコメロンは決めてたんだけど、その後どれにしようか迷った時に、」
「ふふっ。サンドイッチが "買って〜" って、叫んでたんでしょ。」
「ぅわぁっ!周ちゃん、どうして分かったの?ひょっとして周ちゃんにも聞こえた?あのね、"こっちこっち"って手を振ってたの〜。」
もちろん、決して聞こえた訳じゃないけど、の言いたいことはもうだいたい分かる。
って、これって絶対他の人じゃ分からないよね。
みんなの言う、いわゆる"天然"っていう性格なのだろうけど、何となくその言葉から感じる否定的な感じではなくて、「天然自然」っていう言い方もあるように、もっと飾り気のないnaturalなイメージの方が、の場合しっくりくるんだけど、やっぱりこれって、好意的に見ている僕だけが感じる"贔屓目"な見方なのだろうか。
屋上で、ご飯を一緒に食べながら、
「曇って、きれいだよね〜。」
「え?なに?まさか、飛び乗りたいとか?」
「ん〜、小さい時は、よく言ってたよね〜。でも、さすがにでももう無理なのは分かるし。」
「ハハハ。ごめん。」
「うううん。それよりさ、周ちゃん見てよ。ずっと見てたらどんどん形が変わっていくじゃない?水蒸気の塊っていうのは分かるけど、どうしてあの高さで留まれるんだろう。気温の差なのかな。冷やされると雨になって落ちてくるし。不思議だよね。」
「凄いね、。科学者にでもなる?」
「あはは。ムリムリ。周ちゃん、が理科ニガテなの知ってるでしょ。」
「でも、今のみたいに、"何でだろう""どうしてだろう"から、始まるものじゃない?さっきのは研究員みたいだったよ。」
「え?ホント?カッコよかった?」
「フフフ。そうだね。」
「あ〜っ。何だかそれ、バカにしてる顔だ〜っ!」
「そうじゃないよ。の考えはすごく不思議で興味が沸くってこと。聞いてて楽しいよ。」
む〜っ、と膨れる顔も可愛い。
といると、本当に心が軽くなるっていうか、安らぐっていうか。
嫌なことを忘れさせてくれる。
ん〜、特別嫌なことがあるわけじゃないのだけれど、何て言うんだろう。
こういうのを"癒される"って言うんだろうな。
学校の帰り道。
急に道端に座ったと思ったら、じっとして動かなくなった。
どうした?と言いながら近づいてみると、彼女の目の前には"タンポポ"の花。
「たんぽぽサンって、いいよね。寂しくないよね。この黄色いのって、花びらじゃなくて、一つ一つがお花なんでしょ。こんなにたくさん集まってて。お友達かなぁ。兄弟かなぁ。親子かなぁ。家族かなぁ。賑やかで楽しそうだよね。」
「も寂しくなんかないでしょ。だって、僕がいるじゃない?」
「あ、それ、先に言っちゃダメだよぉ。が言おうと思ってたのにぃ!」
「え?そうだったの?じゃあ、先に言った僕の勝ちだね。ねぇ、ケーキ食べに行かない?のおごりでさ。」
「え゛〜?何それ〜!勝手に決めないでよぉ!」
「さあて。何にしようかなぁ。楽しみ楽しみ。」
「え〜?え〜?ダメダメぇ!今、お金持ってないし〜、ダイエット中だし〜」
「あはは。冗談だよ。ごめんごめん。また今度、時間のある時に、僕がご馳走してあげるよ。近くに可愛いお店見つけたんだ。きっと、気にいると思うよ。」
「え?ホント〜?やったぁ〜!」
きっと、傍から見れば、相当なバカップルなんだろう。
でも、僕は、となら全然気にならない。却って、独り占めできる喜びがあって、好都合かもしれない。
そうして、いつものように、を彼女の自宅まで送っていく。
そんな毎日の繰り返し。
だけど、いつか、をしっかり護れるくらい、強くなりたいって思う。
いつまでも。君のそばで。
fin
by yukari 2011/12/13
《つぶやきという名のあとがき》
本当は、かなり前に書き始めてたのだけど、
なかなか前に進めず、本日に至り。。。
結局今日は、2作仕上げちゃいました。
開設前で、ちょっと焦ってるわたし。。。?!?!?!
ただの天然なヒロインで終わってしまいましたが、
本当は、まだ続きを書きたかったのだけど、
とりあえず、終わらせてしまいました。
もし、機会があれば、もっとヒロインの素敵なところも
書いてみたいです。
にしても、周助さん、ヒロインにメロメロですね〜。
何となく、周助さんは、どういうタイプの女の子でも受け入れそう。
結構、個性的な子の方に、興味を持ちそうですよね。
まぁ、何となくですけど。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
陳謝。
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